2024年10月にZINEにて発売した「トーフビーツの(難聴)ダイアリー」を、有料ブログ形式にて配信しております。前半(1-6月・今お読みいただいている記事)・後半(7-12月)の2部に分かれての販売となります。ZINE版をお買い求めの方はこのリンクより。
後半はこちらより
********ここより本編********
トーフビーツの(難聴)ダイアリー 2022
この冊子は書籍「トーフビーツの難聴日記」(ぴあ株式会社)の限定特典として配布された「トーフビーツの難聴日記 reprise」とそれ以降の2022年の日記をあわせたものである。「トーフビーツの難聴日記」は2022年の3月まで、「トーフビーツの難聴日記 reprise」はその難聴日記の校了から発売日の5月までの日記となり、それ以降の日記は本書が初出となる。
2022年はアルバムや書籍の稼働に追われたり、初めてコロナにかかった年でもあった。このまえがきを書いている1ヶ月前には2度目のコロナ罹患を経験した。こうして過去の記録を読んでいると現在を生きているはずの自分が未来に生きているように錯覚する。皆様もぜひこの冊子をパラパラとめくり、未来に生きているように感じていただければ。
2024年8月 台風直撃を控えた都内の事務所にて tofubeats
トーフビーツの難聴日記 reprise
本日記は2022年3月末の「トーフビーツの難聴日記」校了より、発売直前の週末までの日記をまとめたものである。「〜難聴日記」と違い、書いてから公開までの日数が近いので情報解禁前の話題なども多く、本編より伏せた表現が多いのはご了承いただきたい。もし情報公開前っぽいものを読んでも広めないでいただけると助かります(笑)。 トーフビーツ拝
2022年3月
書籍になる分の日記を締めた。進捗としてはアルバムの音源本体は完成、アートワークもほぼ校了。ここからは神戸は元町の書店1003(せんさん)さんでお買い上げの皆様のために「難聴日記reprise」としてお送りすることとなる。神戸に居た時に最後に住んでいた家からまっすぐ浜手に降りたところが1003さんの旧店舗で、何度か買い物もさせていただいたことがあった。もうなくなってしまったが元町駅の書店よりも近いはずなので自宅から一番近い書店が1003さんだったのかもしれない。あ、高架下があるか。しかしどちらも移転することになるとは。
1003さんは今は栄町に店舗を移されて営業中とのことだ。自分が高校生とか大学生のころはおしゃれだと思っていたあの栄町あたりに今もこうして文化的な店舗があるというのは胸がアツくなる事実でもある。今の1003さんの場所の近く、現在は駐車場になってしまっているが神戸住友ビルとかあったよね…今も栄町はおしゃれであってほしい、俺たち神戸海岸通系(※)からの祈りです…
※神戸海岸通系……トーフビーツとはmixiの「ディスク・デシネ」コミュニティで知り合った根っからの海岸通フリークのオノマトペ大臣が大学生時代に提唱していた概念。大臣の大学の同級生であり現在は漫画家の西村ツチカさん、当時高校生のトーフビーツが頭数にカウントされていた。当時この三人はバンド「エリー・マイ・ラブ・ソー・スイート」として「カルアミルク」のカヴァーのデモテープを新開地音楽祭に送るなどといった活動を行っていたという…
4月
後輩ラッパーよりいただいているコラボ曲を作業。初稿に直しが来たのでいくつか修正を加えて送信。「夢のまた夢」というテーマなのだが、めちゃくちゃ夢みがちな年齢というわけでもなくなってきたので難しい。
4月
串田さんからのオファーでスペースシャワーTVの「Black File」の撮影。弊社にて。自分は足掛けここまでのキャリアで住んでいたほぼの全ての部屋がメディアに露出している。取材が唯一なかったのは二重生活時の都内の部屋くらいではないだろうか。まあその部屋ではほとんどちゃんとした制作はしていなかったのだが(部屋には小さいデスクセットとモニター、パソコン用のハブ、小さなスピーカーとヘッドホンだけがあった)。
過去の取材でもっとも世間的にイメージが強いのが前のBlack File出演時の映像である。2015年、会社も設立する前の取材だったのにいまだにこの部屋に住んでいると思われていることは多い。一方で「養命酒あれ見て飲み始めたんですよ」といまだに言われるのは嬉しい。
SSTVのチームは全2名、到着して雑談もそこそこにいきなり撮影開始。全アドリブで30分回し続け、サラっと撮影は終了。このくらいの年齢になると「取材だし部屋のこういうおしゃれなところを見てもらわないと…」みたいな自意識が減ってくるので楽ですね、みたいな話に。うちの事務所は掘り返せばそれなりに自慢できるものもあるかもしれないが、こういうときに無駄に背伸びしないでもまあまあ機材とかも映り込んでるしわかる人にはわかるっしょ、みたいな気分になってきたのはなんとなくわかる。
4月
NASのA$AP RockyとPremierとやってる新曲「Wave Gods」、ひさびさにこういうHIPHOPでガツンと感動する曲が出てきてテンションが上がった。
4月
ワーナーマスタリングより検聴盤にエラーが出ているとの報告。得能さんのデータ自体は自分も確認して問題がなかったのだが、商品としての規格に合っていない部分があるようだ。マスターはすっかり完成した気でいたがここらで少し作業していただくことになる。ここらへんの工業的な規格がまとまっているところはないのだろうか?
検聴盤の備考欄に「SEノイズが少し多いです」と書いてあって少し笑った。今回のアルバムはiPhoneでの録音素材が多く使われている。
自分のアルバムの作業は落ち着き始め、プロモーション稼働が本格的に始まる予感といった感じである。正直溜まった外仕事に取り掛からねばいけないのだが、書籍のゲラ読みのほうが楽しそうなので自転車で少し古めの喫茶店へ。これまでiPadで行っていた確認作業も完成に近づいてきたところで紙にシフトチェンジ。Makalaのニューアルバムや新譜を予約したSam Gendelの旧譜「Fresh Bread」を楽しみつつ目を通す。銀座松屋を「松坂屋」と書いている誤植を発見。まだまだ東京力が低い。
夜、難聴日記のカバーの色校も届く。思ったよりビビッドな色合いで、このヌルヌルとした日記に彩りを与えてくださったみなさまに感謝です。あと数年フィジカル作品を出していなかったので、ここ数ヶ月アルバムや書籍の色校の類がスタジオに届きまくるのはなんだか嬉しい。